あるナチス兵がイギリス軍の捕虜となり、そのまま終戦を迎えるのだが、彼はサッカーの才能を見込まれ、敵国しかもユダヤ系のファンを多く抱えるマンチェスター・シティFCのプロ選手となる。戦争による喪失感とナチス・ドイツへの憎悪に満たされた市民たちからのブーイングに耐え、チームメイトや家族の支えも得ている彼だが、愛する妻にも話せない戦時中の出来事によるトラウマや後日抱えることになる大きな出来事に苦しみ続けるのだった。
しかし、人はどのような時にも前を向いていかなければならないという妻の覚悟に満ちた言葉や、かつては憎しみだけで接していた人物の悲しみに触れたとき、彼の心にも変化が生じ、マンチェスター・シティでさらなる活躍をとげ、後年イギリス・ドイツの友好に貢献したとの理由で両国から表彰されるに至るという、実話に基づいたお話。
とてもとても重い映画です。でも重いテーマの中にも文学的な美しさや情緒が散りばめられているので救われました。そして最終的には人間というのは個人個人のわかり合い、個人同士の関係が頂点にあるものなのだということです。スポーツや学問や芸術あるいは個人交流によってせっかく仲良くなれた国同士を、政治や経済や思想によって再分断するようなことはあってはならないと普段から感じている私としては非常に感動できる映画だったのです。
情緒ということで言えば、この映画の主人公たちが結婚したよ、という場面が素晴らしいです。ああそういう手を使われたか、という感じ。
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まりこ (土曜日, 14 11月 2020 20:13)
重い映画、、、という事ですが、、
前向きにもなれる感じですか?
内容とても素敵ですね、本があれば読みたいです^ ^
雛澪 (日曜日, 15 11月 2020 23:57)
まりこさん、重いテーマだけど暗さだけじゃなくてとても前向きになれるよ!
私はもう一度観たい気もするけど、すぐにはちょっとしんどい(内容的に)ので
少し日を開けてから観たい。でも最近、いい映画は短期間で終わる傾向にある。