☆彡雛澪式 暗譜の方法

 前回は暗譜に関して根性論のようなことを書いてしまったので、今回は私の

暗譜方法を具体的にご紹介します。あくまでも参考、一例としてお読み下さい。

 まず、口ずさめない曲は暗譜もできないということ。例えば好きなアーティストの歌を思い出してみると、まずは何度も何度も聴いて、そのうち何となく

一緒に歌えるようになって、最終的には自分一人でもカラオケですらすら歌えるようになります。それと同じで民謡や三味線曲も、何度も聴きこみ、完璧ではなくても何となく口ずさめるようになるところが暗譜の第一歩です。聴きこむ音源はできれば師匠に録音させていただいたものがよいですが、ない場合は自分で

譜面を見ながら録音したものを聴いてもいいと思います。

 ある程度口ずさめる感じになったら、譜面を置いて曲の最初から覚えるつもりで弾いていきます。4小節から8小節くらい譜面から目を反らして弾いてみて、何となく覚えていたら次の4小節、というように分割して確認していきますが、毎回曲の最初から弾いていくのがよいようです。1小節めから8小節めまで覚えたら、次は1小節めから12小節めまでというふうに。そして、完璧に覚えてから次に行くのではなく、ある程度でどんどん次に進んでいきます。

 この時、譜面の数字で覚えることはしません。手の動きや音の並びで何となく

覚えていきます。1曲覚えていく中でどうしても覚えられない小節や、毎回間違えてしまう音がわかってきたら、その部分だけ補助的に数字で覚えるようにしています。

 家で完璧に暗譜で弾けるようになっていても、師匠の前だとなぜか半分しか

弾けなかったりするのが辛いところです。でも、できるだけ多くの曲を暗譜する

うちに、暗譜すること自体が早くなってきます。どういう手の動きでどういう

音の並びになる、というパターンが自分の中に経験として蓄積されていくからです。

 それから、合奏曲などの覚え間違いは困りますが、ライブでソロ演奏する

曲などは、少し覚え間違っていても変な音にならなければよいと思っています。

また、3本の糸のうち弾く糸を間違っても同じ音であればよいと思います。

この、違う糸を弾いても押さえるツボによっては同じ音が出る、というのが実は

三味線の暗譜を難しくしている最大の要因であり事故の元なので、ベテランで

なければ使えない技ではありますが。

 最初から譜面を見ず耳コピで覚えた曲は、後から譜面と答え合わせした時に

弾く糸の違いや装飾音の間違いなどに気づくことがあります。でもそこは逆に

「雛澪オリジナル」ということで気に入って、あえて直さないんです。