☆彡東京旅行記　その２

2023年7月18日

　朝から築地へ。築地本願寺は初めて見たが、ダイナミックでエキゾチックな建築に驚く。ずっと見てられそう。中にはパイプオルガンもある。築地の場外市場はとても混んでいたが、95％が外国人観光客だった。イートインコーナーで藪そばと天丼セットのお昼ごはん。

　それから神楽坂散策。カフェでアイスコーヒーを飲んでいると、酒粕のクッキーを出してくれた。ふわっといい香りがしてたいそう美味。酒粕クッキーと米ぬかクッキーを購入。　　　　　

見番横丁を歩くとそばの建物から三味線をお稽古している音が流れてくる。見番とは、芸者さんなどを客席に派遣する事務所のようなところである。東京理科大学の記念館（同窓会館のようなもの？）に迷い込むと、受付のおじさんが神楽坂資料などが載っている地図をくれた。会館内の昔の神楽坂に関する資料展示も見学。

その後、少し足を延ばして東急線の西小山へ。中学１年生の時、父の転勤で東京に住んでいた。そのマンションや中学校、弟の通った小学校も見に行った。ちなみに私は品川区立荏原第六中学校、なかにし礼さんは荏原第三中学校出身だそうだ。生まれて初めて自分で歌謡曲のレコード（清水健太郎さんの「失恋レストラン」）を買った駅前商店街のレコード屋さんはすでになく、残念。帰りにちょっと甘いものでもほしいねと西小山駅のカフェでドーナツとドリンクを頼んだ。大きくてパンみたいに甘くないドーナツだった。

さて、夜は門前仲町に戻って居酒屋へ。おばちゃんがカウンターの中にいてオーダーを取ったり厨房から届いた料理を出したりしてくれる。人気店らしく大きなカウンターが満席だった。食事していてふと違和感を感じた私は上を見上げる。真っ白な天井になんと〇キ〇リ様の御姿！ とっさに天井のすべてを見渡す。他にはいないからたまたまか、とホッとする。いやホッとしている場合ではない。私の様子を見た向かい側のカウンターに座っていたおじさん二人も天井の異変に気づく。どうすりゃいいのか。女性客も多いから、このことが知れたら店内はきゃーーーっと阿鼻叫喚。グラスの割れる音、テーブルから滑り落ちるお刺身や卵焼き、逃げようとして転んで泣き叫ぶハイヒールの女性、恋人を放っていち早く店外に逃げようとした男は恋人にビンタされ……パニック映画さながらの光景が目に浮かぶ。いや～ダメダメ。こっそりお店の人に言ったところで、飛び回ったり天井からカウンターに落ちてきたりすれば大ごとだから、退治することもできまい。いや～ダメダメ。私とおじさんたち、全くの他人同士の三人がまるで共犯者のように黙って苦笑いを交わすのみ。

しばらくして、うつむいて食べていた私の視界の隅を黒いものが横切った。ナナメ右上から左下。天井を見上げる。いない！ 敵はおばちゃんエリアの床に降下した模様。急いでカウンターの下を覗いた。カウンターは床までつながっており、おばちゃんエリアのゴキ様が私の方に来る恐れはない。ホッとして私はゆっくりご飯を食べた。

どれくらい経っただろうか。カウンター内でおばちゃんの不審な動き。床のゴキ様に気づいたらしい。お客さんにバレないようにおばちゃんは素早く足で踏み殺す（上半身の動きからの推察）でもお店の人だったらそうするしかないよね。なんだか私はその死骸がどうしても見たくなり（第一発見者として検視に立ち会いたい）、おばちゃんがレジに気をとられている間に立ち上がってカウンターの中を覗いたが、床までは見えなかった。

お店を出て夫にその話をすると「なんで天井にいる時に教えてくれへんかったん。見たかったわ～」ですと。「でもそんなことしたら、周りの女性たちが気づいてパニックになると思ったから」というと、もし今度同じようなことがあったらこっそり夫に知らせるための暗号を決めてくれた。今度いつ同じようなことがあるかは知らないが、暗号を使うのはすごく楽しみである。

笑いながらこんな話をしていたのでまっすぐホテルに帰らず、にぎやかなもんなかの街をふらふらとさまよって、気づくとかつて辰巳芸者（深川芸者）たちが活躍した一角に来ていた。今も間口の狭い飲み屋さん、小料理屋さんが軒を連ねている。粋だねえ、とか言いながら歩いていると、二人の目の前をラグビーボールくらいのどぶねずみが横切った！ またもや大笑い。夜の飲み屋街にはいろんなケモノが出没するようで。

※その３へ続く※