文楽人形遣いで人間国宝の吉田簑助師が亡くなられた。
一線を退かれて3年半。粋で品のある芸人の代表のような方だった。
生前「来世も人形遣いになる」と仰っていたという。幸せな人生でしたね。
コロナの緊急事態宣言発令のため、引退公演の最終日が中止となったのは
残念でした。プラチナチケットを購入していた文楽ファンの方々はどんな気持ちだったか。
私は最終日以外の日に観に行き、引退挨拶はネットの動画で拝見しました。
舞台中央でお弟子さんに支えられ、花束をかかえた師匠が、背筋をまっすぐ伸ばして
客席をぐるりと見回しておられたのがとても印象的でした。この光景を観るのも今日で最後だと、劇場とお客さんの姿を目に焼き付けようとされていたのでしょう。
余談ですが、この時師匠を後で支えていたお弟子さんが、自分が倒れそうなくらい泣いていて(師匠は泣いてないのに)、でも支えているから涙をぬぐうこともできず大変だったようです。(^▽^;)
年配の技芸員の方が亡くなり、私のファイルに訃報記事が新たに増えるのがとても
淋しいです。でも若手・中堅の技芸員さんたちが精進され、いい舞台を観せて下さるのが
救いでもあります。
簑助師匠、ありがとうございました。
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