当欄コメンテーターのkirokuyaさんと奥様kyokoさんの推薦で鑑賞。Kirokuyaさんの言葉通り「いいところも悪いところもある」映画だった。
まず前半の大学生活や恋の始まりを描いた部分。10点満点中1点。なんてことない場面が流れてゆく中に若気の至りそのままの信念や哲学があんまりパッとしないセリフの応酬で語られる。ああでも若者のリアルってそんな感じだったかもしれないなと振り返るが、現実社会のリアルと作品におけるリアリティは違うのだ。私が映画に求めるのはリアリティ。リアリティを感じられれば、冷静に考えたらありえないような内容でも作品として満足する。それこそが以前にも述べた「映画的なるもの」ということ。
ただ、画面の作り方は上手いなと思った。画面の構成とか色とか。まあ大学の構内って元々絵になる風景が多いけどね。
後半。さっちゃん役の伊東蒼さんの魂を懸けた長ゼリフで一気に覚醒!
10点満点中10点。よくぞあれだけのセリフを、演じようによっては最高にダサくなりそうなセリフを素晴らしい演技で魅せてくれた。さっちゃんの人柄はもちろん、伊東さんの人柄まで透けて見えるような名演。これを見られただけで、この映画を観に来てよかったと私は思った。主演の河合優実さんも演技は悪くなかったのだけど、このさっちゃんの名場面を経た後では、最後の優実さんの長ゼリフもあまり響かなかった。
さっちゃんの長ゼリフから、萩原利久さんと古田新太さんが河合優実さんの家を訪れ、古田新太さんが先に帰ったあと優実さんが一カ月前の出来事や家族の状況を説明するところ(事実の説明)まではまあまあよくて10点満点中8点。でも、それ以降優実さんと利久さんが互いの心境を吐露しあうところからラストまでは全く必要なくて10点満点中1点。特に利久さんの長ゼリフ。気持ちを言葉で説明するな、目で語れ、物語をせよと私は心の中でつぶやいた。制作側の「なんとなく素敵なシーンを入れてみました」みたいな部分が目につくと、観客をなめんなよと思ってしまうのです。
あと細かいけど散りばめられた「お父さん語」はなんか心にしっくりこなかった。ヘンテコな感じだけが残った。それと、優実さんのお父さんと利久さんのお祖母ちゃんがタイトルにも使われている全く同じセリフを言い残したとあったが、そんな複雑なセリフがかぶるなんて、一緒に生活していた身内でなければありえない。実は優実さんと利久さんがいとこなのかな(お父さんはお祖母ちゃんの息子)と思っていた。
かなり酷評となってしまいましたが、芸術作品に関しては忖度なく正直に思ったことを述べるのが信条ですのであしからず。あと、原作や脚本を読んでいないので何が原因でこのような感想になっているのかはわかりません。原作がそうなのか、はたまた映画化の過程でこうなったのか。ただ映画になっている以上、その映画作品がすべての答えだともいえるでしょう。
最後にとても気になったこと。「セレンディピティ」をただ単に「ラッキーな偶然、幸運」とだけとらえられるようなセリフがありました。私の解釈する「セレンディピティ」とは「普段から努力したり勉強したり、よい行いを心がけたりしている人に対してごほうびのように訪れる、ラッキーな偶然、幸運」なのですが、どうでしょうか。
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kirokuya (土曜日, 03 5月 2025 03:58)
おすすめの映画をご覧くださりありがとうございます。共有できて嬉しいです。作者からリリースされた作品…絵画、小説、映画、芸能の舞台などなど…は鑑賞者(客)のものになり、感想は10人10とおり。今日の空…もしかり。私共夫婦、また澪さんも絶賛しているあのさっちゃんの独白もクサくダサく鬱陶しく感じる観客はいるでしょう。
ブルーインパルスの項、その後ショートメールでお伝えしてる感想に補足するなら、脚本、監督にマイナスポイントを付けた事。原作ありきの物語を映画化する場合、監督の発想で足したり引いたりは自由だと思いますが、私の感想では、関大初の女子学生北村兼子さんの逸話は要らんし、物語の流れを滞らせた。それとラストは原作から削らず、結婚式シーンを入れて欲しかった。大活躍した犬のサクラの参列を観たかった。ラスト近くの河合優実と萩原利久の独白合戦もさっちゃんが遺影として見守っている感じでOKです。
セレンディピティという語彙の概念は漠然としか捉えていません。この言葉自体がまだ新しいので、個人の見解によって、使うシーンを決めたら良いのだと思います。無理に使う必要もない言葉だと思っています。調べるまで知りませんでしたし。
kirokuya (土曜日, 03 5月 2025 04:16)
私自身は映像作品を観る場合、むしろネタバレを事前に仕込んで鑑賞に臨んでいます。ですからコメント、ネタバレを配慮、考慮していません。ネタバレがいやな方は、後の祭りです。悪しからず…
kirokuya (土曜日, 03 5月 2025 11:00)
ー河合優実さんのことー
TVドラマフリークの相方が録画して観ていた*不適切にもほどがある(2024)で女子高校生役を演じているのを観たのが初見です。なんじゃこの子は!卓越した演技力に着目し、映画*あんのこと(2024.6)*ナミビアの砂漠(2024.9)*悪い夏(2025.3)そして今作*今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は(2025.4)と今鑑賞できる近作をたて続けにチェックしました。
役者の演技力てなんや?彼女は作品の制作意図を突き詰め、把握して、全てのシーンで場に馴染んでいます。相手役に寄り添い、また反発する感情を、科白、表情、身体でのボディランゲージ、すべてを使って表現しようとしています。どこでどのように訓練したらそうなるのかと思わせてくれます。
お目当てにして追いかけたい逸材です。共演者にまた観客に届く頭抜けた表現力を持った女優さんを同時代に観られるのはありがたい。ギリで間にあいました。代表作は?まだこれからでしょう。
歌えて、ダンスも達者です。BOSSのCMでの*なんてったってアイドルの歌唱と身振りは小泉今日子さん以上に小泉今日子さんであり、アイドルそのものでした。
ちょっと昭和っぽく言えば、男をダメにする魔性を秘めてます。当然ご当人はそんなこと100も承知されているでしょう。
雛澪 (土曜日, 03 5月 2025 23:56)
関大初の女子学生北村兼子さんの逸話は要らんし、物語の流れを滞らせた。
→なるほど、たしかに唐突さが否めないし要らんですね。
最近北村兼子さんのことを読売新聞で紹介していたので思い付きで入れたのかな?
結婚式シーンを入れて欲しかった。
→二人は結婚したのですね。なんか話が全く違ってきますね。
映画のラストでは二人の関係が快復する予感を秘めているけど、そこから結婚に
まで到達するのは短い映画時間の中では無理があったのじゃないかな。
kirokuya (日曜日, 04 5月 2025 02:38)
結婚式シーン→一観客としての願望、妄想です。ピンク色の蝶ネクタイしたサクラ、山根夫妻、佐々木父娘、ため息のマスター、さっちゃん、徹の祖母、花の父。総出のフィナーレ。エンドロールの後、30秒位のカットで入れるとか…徹と花は顔出し無しで、後ろ姿。映画ぶち壊しですね…
kirokuya (日曜日, 04 5月 2025 03:26)
kirokuya:遠景で腕を組んでいる徹と花の後ろ姿、花の隣に老犬サクラ、
サクラは前向き、徹と花は今日の空を見上げている。カメラ、空へゆっくりアップ、ウググ…
ブラックkirokuya:大丈夫でっか?いつまで空見上げて泣いてまんのん。
雛澪 (火曜日, 06 5月 2025 01:07)
結婚式シーンはkirokuyaさんの創作だったんですね。
出町柳駅とか出てたけど、関大は京都にもキャンパスありましたっけ?
kirokuya (火曜日, 06 5月 2025 03:48)
結婚式シーンは原作小説にもありますが、グランドフィナーレ風にしたのは、kirokuyaのの創作です。
関大に京都キャンパスはありません。劇中さっちゃんの通ってた大学は、同志社大学今出川キャンパスだと思われます。
kirokuya (火曜日, 06 5月 2025 15:38)
*今日の空が一番好き…
今朝の雨風に混じりながら、3回めの鑑賞。同じ映画を同じ上映期間に3回観るのは多分初めてです。今日は役者の演技より、大九監督の構成、演出、技術(音楽、照明、カメラワーク、衣装、持ち道具、消え物など)を確認するのが目的でしたが、桜田姉妹に魅入られ、劇中に入りこんでしまいました。1回めより2回め、2回めより3回めと気付きが増えていき、あぁこんな楽しみ方もあんねんなと。*初恋クレイジー(スピッツ)が、前2回より響き、刺さりました(号泣)
次回鑑賞予定(映画)
*国宝
*ドールハウス
*メガロポリス(コッポラ監督)
*綾野剛さん主演の?題名忘れ…
*ジュラシック·ワールド新作
雛澪 (火曜日, 06 5月 2025 23:51)
そうか、さっちゃんは学校が違うから出町柳だったのか。
気づきませんでした。
もう数十年前になりますが、ジュラシックパークの1作目は映画館で3回観ました。
ナビオ阪急(昔の)の映画館だったと思います。
私の次回鑑賞予定(映画)
*国宝
*ドールハウス
*綾野剛さん主演の「でっちあげ」ですね。知りませんでした。久々の主演楽しみ!!
10月にもトリプル主演の映画公開予定みたいです。う……うれしい。
*ジュラシック·ワールド新作
kirokuya (水曜日, 07 5月 2025 18:45)
あらま!およよ!!