☆彡NY55番街

1970年代の終わり頃「ニューヨーク52番街(原題:52nd Street)」というビリー・ジョエルの名盤が発売され、彼にとって初の全米チャート1位を獲得する。それとは似て非なる「NY55番街(にゃんこ55番街)」のお話。

私は三味線講師をしつつ、とあるコールセンターで週4日、派遣社員としても働いている。いや別に、三味線だからにゃんこの話か、という洒落ではない。ちなみに私が普段使っている三味線は犬皮である。

ある日の通勤時、停車駅でふと向かい側のホーム下に目がいった。ホームの床の側面、ものすごく細い幅のところに10番から始まって等間隔に数字がふってある。10、15、20……というふうに5番刻みだ。私の向かいが 55番、その55番の下に小さな牛がいた。いや間違い、牛と同柄の猫がいたのだ。白と黒の割合がちょうど小さなホルスタインのようなその牛は、いやその猫は、ホームの下の日陰に座って反対側を見ていた。

あれ、あんなとこに猫おるわ~。野良猫かな。私は読んでいた本に再び目を落とした。

翌日、同じ駅でまた向かい側のホームに目がいった。あれ、また55番の下におるわ~。

その翌日も、またあの猫おるわ~。そのまた翌日はその駅が近づくとあらかじめ目を見開いてスタンバイ。そうそう何日も同じ場所にはさすがにいないなあ……と思ってたら隣の50番に座ってた。いつも座って反対側を見ている。私は夕食の時主人に言った。

「いっつも〇〇駅のホームの50番か55番の下に牛みたいな猫がおるねん。絶対50番か55番やねん。猫やのに数字わかるんかいな。いっつも反対側見てるねん」

「いや数字わかるんじゃなくて、その場所が好きなんやろ」と主人。

「すごい気になるねん。他にも気になってる人いるんとちゃうかな」

「いやみんな、電車でスマホ見てるから猫には気づいてないやろ」

 ある雨の日、猫はいなかった。とうとうどこかに行ってしまったかと悲しんだが、翌日には55番に戻っていた。下が草むらだから雨の日はどこかに避難しているのだろう。

 春先なのにものすごく寒くて薄暗い日、ホームの下に丸まっている猫の影。

「今日は丸くなってうずくまってた! もしかしたら寒くて死んでしまったのかも」と主人に涙ながらに訴える私。

 次の日に見たら、うずくまった猫だと思っていた場所には小さなラグビーボールみたいな岩があった。猫はその横で片足上げて頭を掻いていた。 

 通勤のたびに観察していると、95%の確率で55番もしくは50番にいる。毎日の逢瀬ですっかり自分のペットででもあるかのように感じているのだが、そこらへん一帯は鉄道会社の広大な敷地で車両倉庫も兼ねており、一般人は入れないようになっているため、猫の近くに行ってみたくても不可能なのだ。 

 ちなみに、主人と出かけた時に猫を見てほしくてわざわざ遠回りしてその線に乗ったのだが、その時はいなかった。どうやら猫が55番、50番に滞在している時間帯がたまたま私の通勤時間と重なっているみたいなのだ。

にゃー。

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コメント: 5
  • #1

    kirokuya (土曜日, 17 5月 2025 03:20)

    NY55番街 いや、
    *NY52番街 聴いてみた。なんか都会的なポップス。な印象。ビリー·ジョエルさん、男前でしたね。

    ホルスタイン柄の猫。
    調べてみた。白黒猫、ハチワレというらしい。てか、猫って柄によって性格(性質)が違うんですね。

    駅ホーム下側面の数字。
    これも調べましたが明確なAnswersには至りませんでした。多分、保線員さん用の目印?

    その駅はどこ?推測しましたが、これも明確なAnswersには至りませんでした。ええい当てずっぽうで中百舌鳥!

    そのハチワレちゃんには野良として長生きして、猫生を全うしていただきたいワン。

  • #2

    kirokuya (土曜日, 17 5月 2025 09:07)

    ハチワレ:人なつっこくて、活動的なニャンコらしいです。知らんけど…

    ブラックkirokuya:出た~知らんけど…
    あにやん、ちょっと古いでっせ。

  • #3

    kirokuya (日曜日, 18 5月 2025 07:20)

    訂正

    ホルスタイン柄の猫
    ハチワレ×→ぶち〇

    朝寝、朝酒、朝湯の後、気付きが訪れました。

  • #4

    雛澪 (月曜日, 19 5月 2025 01:59)

    小原庄助さん
    私にとってニューヨークといえばビリーです。
    柄によって性格が違うとは面白い。猫って奥が深いのですね~。

    大阪環状線のO駅です。
    して、ぶち猫の性格はいかに???

    余談ですが
    会津の小原庄助さんは、朝寝・朝酒・朝湯が大嫌いで、それで身上残したそうです
    もっともだ~

  • #5

    kirokuya (月曜日, 19 5月 2025 03:30)

    ぶち猫:甘えん坊で人懐っこい性格だそうです。白黒の割合によっても違うらしい(wiki調べ)

    へぇ~っ!小原庄助さん、唄われているのとは真逆なんですね。私とは真逆ですわ。おかげさまで身上スカスカで~す…はぁ~もっともだ~もっともだ…朝寝朝酒朝湯、休日の至福タイムであります(*´σー`)エヘヘ