以前に絵画を教えていただいていたO先生のお薦めで、小川洋子さんの
「博士の愛した数式」を読んだ。久しぶりに、続きを読む時間が待ち遠しい小説だった。
すべての登場人物(義姉も含む)が物欲などとはほど遠く(野球カードを除いて)、名誉欲もなく、ただ目の前にいる人や目の前のものごとを愛し慈しみ、心から楽しんでいる。幸せな物語を読んで自分の心も浄化されていくのを感じ、日常生活の中で時たま感じるいさかいやストレスなど本当にどうでもよくなってしまった。
すぐれた芸術はそれに触れる者の生きる糧になりうる。パンデミック下であれほど「不要不急」と言われていたのだが、どうしようもなく困難な状況にあっても最後に人間を救うのはやはり芸術・芸能なのだとここ数年で私は確信している。そしてまたこの小説における数学・数式が紛れもなく登場人物たちにとっての芸術でもあるのだ。
博士の、数字に対する愛着たるやもう「数字オタク」といっていい。そしてその執着ぶりが部外者から見てもなんだか可愛い。ちょっと夫の「三味線オタク」ぶりと似ている。
【TSUTAYAディスカスで映画のDVDを借りるのは1か月に1回まで。キリがなくなるから。ただし枚数は必要に応じて1回に何枚でもOK】との自己規制を破ってまで映画「博士の愛した数式」も借りてしまった。寺尾聰さんが博士役だから期待大。明日あたり届くだろう。
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