でっちあげ2回目の鑑賞。ストーリーは頭に入っているので、演出や構成に重点を置いて観ることがてきた。
まず上手いなあと思ったのが、綾野剛さん演じる薮下の後ろ姿が実に効果的に挿入されていること。映画が始まって、正面からのショットが入るまでの後ろ姿。雨の中を歩く狂気じみた背中と、マスコミが大挙する中を進まざるを得ないうらぶれた背中。
それから、2回目だからはっきりとわかる、登場人物たちの細かな表情や仕草に込められた意味。ストーリーを知っているからこそ泣ける場面やセリフもあった。特に薮下の息子が父兄に翻弄される父の様子を見て「教師にはぜってー(絶対)なりたくねえ」とつぶやくところ。その後の展開を思い出して号泣。
無駄なシーンが一つもなく、テンポの早い展開でありながらわかりやすい。以前と比べて雑然とした部屋、無造作に吊るされた洗濯物、そしてリンの音一つで大切な人の不在や、それでも残された者たちで相変わらず丁寧な暮らしを営んでいることを鮮やかに描く。
私を含め何人かの人から指摘のあった「十年後の剛くん老けすぎ問題」であるが、顔や髪型やメイクはほとんど変わっていなかった。何をもってしてあれほど彼をフケて見せていたのかというと、猫背の姿勢とゆっくりした歩き方だった。
この映画を観ていて前半で席を立ってしまった人も多くいると聞く。それは映画がつまらなかったのではなく、薮下が生徒をいじめる場面があまりにもひどく、気持ちが繊細な人には耐えられなかったからだそうだ。実際私も2回目であるにも関わらず、その場面はやっぱりすごく辛くて、危うく綾野剛さんをまた嫌いになりそうだった。彼の演技力、作品に向かう情熱がそう感じさせるのだろう。
でも、きっと演じた後に「ランドセルを踏みつけたりしてごめんなさい」って手を合わせたりしてるんだろうな、と想像させるのが綾野剛という人のたたずまいから滲み出る人間性なのかなと思ったりもするのだ。
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kirokuya (金曜日, 18 7月 2025 04:54)
おぉ2回目行かれましたか。
綾野剛さん、私も演技力確かな役者さんだと思います。近作主演作品では*花腐し *カラオケ行こ! *でっちあげ 、 どの作品でもブッ飛んでますよね。推しとまではではいかないまでも、次の(主演作)が待ち遠しい役者さんの一人です。今、同じタイプの役者はいないでしょう 、唯一無二ではないですか?あえてあげれば、全盛期の緒形拳さんかなぁ?
next one!もちろん観に行きますよ。
雛澪 (金曜日, 18 7月 2025 11:01)
どれもよかったですね~!!
「まる」も映画は✕だったけど、綾野剛さんはよかったです。
次の主演作が「next one」というタイトルかと思って検索しそうになりました。
kirokuya (金曜日, 18 7月 2025 11:17)
んなあほな(笑)
映画本編はもちろん良かったのですが、注目したのはチラシの表情なんです。あんな表情、彼しか作れないでしょう!!
映画解釈に若干の違いがありますので、居酒屋 澪 でお話しましょう�