先日、ホームズと寅さんの類似点について書いたところ、当ブログの名物コメンテーターkirokuyaさんから「英国のダンディズム、江戸の粋(イキ)」との類似点の指摘をいただいた。
なぜ私が幼少期から理由もなくイギリスに惹かれるかがわかった。世界で一番好きな国はフランスだが、フランスを好きになった理由ははっきりしている。生活文化を含む文化芸術の素晴らしさや街の美しさ、古いものを大切にするところ。でもフランスはどちらかというと京都のイメージだ。
私は大阪生まれのほぼ大阪育ちであるが、自分の気質は江戸っ子だと思っている。上方の粋(すい)よりも江戸の粋(いき)が大好き。全然詳しくないけど、落語も街歩きも上方より江戸に惹かれる。
そうか、イギリスは江戸だったのか。合点がいった。
江戸の粋といえば真っ先に連想されるのが深川の辰巳芸者だそうだ。深川とは現在の門前仲町あたり。20年ほど前に私が研修で3か月住んでいたところ、2年ほど前に主人と旅をして人気居酒屋の天井にゴキ出現の大事件があった街である。大好きな街。間口の狭い飲み屋さんが軒を連ね、かつて男まさりの辰巳芸者が闊歩したであろう路地裏も二人で歩いた。短期間であれ江戸っ子気質を象徴するような深川に私が居を構えていたと思うと感慨深いものがある。
コナン・ドイルの小説の中で、シャーロック・ホームズは宿敵モリアーティ教授(何の教授かは知らん)と崖っぷちで取っ組み合い、二人で谷底に落ちた。ドイルは本当は歴史小説で名を挙げたかったので、ホームズものは早くやめたかったみたいだ。医者としてはあまり成功せず、患者が来ない暇な時間に小説を書いたというのを聞いた時、私はドイルの小説は好きだけど病気になった時はドイルの診療所には行きたくないなと思った。
キャラクターが作者の思惑を超えた大きな存在になり、作者といえども勝手に死なせる訳にいかなかったのは寅さんと同じである🐯
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kirokuya (木曜日, 04 9月 2025 03:53)
(江戸の粋)に絞って少し。
江戸っ子:てやんでいべらぼうめ!こちとら神田の生まれよ!宵越しの銭は持たねぇってんだよ!おととい来やがれ!
辰巳芸者:てやんでいべらんめえ!あっちを誰だと思ってんだい、深川の小春姐さんを知らねぇってのかい、出直して来な!
車寅次郎:わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。帝釈天で産湯を使い、姓はくるま、名はとらじろう。人呼んでフーテンの寅と発します。
江戸の粋について思いめぐらすと、上記の言葉(啖呵)にたどり着く。
自分の生まれに誇りを持ち、喧嘩っぱやくて向こうみず、義理と人情に厚く、涙もろくて、お人良し。(女性の場合)男まさりで鉄火場肌。品行は悪いかも知れないが、品性は良く、揺らがない自分なりの美意識を持っている。少し褒めすぎたが、江戸時代に育まれたであろうこの気質、嫌いではない。
江戸の粋を映像化した映画作品。
*一心太助シリーズ
中村錦之助主演(東映)
*べらんめえ芸者シリーズ
美空ひばり主演(東映)
どちらも昭和30年代、お二方が若手の頃の代表作です。朧に覚えてます。
*男はつらいよシリーズ
渥美清主演(松竹)
言わずと知れた寅さん!名作です。
英国のダンディズムについては、紙面が足りない。やぶ医者?のコナン・ドイル先生と、シャーロック・ホームズ探偵にはお休みいただくとします。
雛澪 (木曜日, 04 9月 2025 15:20)
男まさりの向こう見ずなので、世が世なら大変なことに巻き込まれていたかも。
平和な時代に生まれてよかったです。
寅さんの口上で一番好きなのは
「四谷赤坂麹町チャラチャラ流れるお茶の水イキな姉ちゃん立ちしょんべん」です。
しょ✕✕✕が好きなわけでなく、東京の地名の羅列に惹かれるのだと思います。
今、いろいろ調べていてわかったのですが
「大したもんだよ蛙のしょんべん見上げたもんだよ屋根屋のふんどし」ではなく
「田へしたもんだよ~」だったんですね。
「田んぼにした」を「大した」にかけた駄洒落だそうです。
蛙は体が小さいのに大した量だ(笑)って言ってるのかと思ってました。
「見上げた~」は上手い! って感じですね。
kirokuya (木曜日, 04 9月 2025 18:17)
おおまかにみて江戸時代の江戸はおおらかだったのでしょうね。言葉遊びで楽しんでいたのでしょう。上手い駄洒落なんかをひねり出したら、
よっ、粋だねぇ…
なんて。幾多の名作が生まれたのでしょう。えりすぐりの作品、寅さん、ようけ知ってましたね。噺家がマクラで使ってたり。そんな言葉遊びが飛び交う江戸風情な町、店、人などは、もう絶滅してるのでしょうね。
私が好きなのは、
五月の鯉の吹き流し…やったかな?
そのココロは…腹がない。
なんて。
kirokuya (木曜日, 04 9月 2025 18:28)
訂正
文末(なんて。)抹消
(判じ絵)なんて遊び心もありますね。
筆者さんはすでに周知されてますが、江戸の粋イキと上方の粋スイの違いにも思いがめぐります。
kirokuya (金曜日, 05 9月 2025 03:11)
六代目:遠いとこから来てくれてはんねんから、機嫌良う帰ってもらわなな…
六代目笑福亭松鶴師匠の逸話。スイな例の一つとして紹介しておく。六代目は東京の噺家とも親しく交流があり、すでに大看板として道頓堀角座のトリを務めていた当時、東京の噺家を招聘した時など、自分より格下であっても、自らはトリを外れ、客人として、トリを任せていたそうな。夜のもてなしも、客人ファーストに徹していたそうな。
江戸の粋が(自分アピール)なのに対し、上方のそれは(相手を立てる)。随分ざっくりまとめてしまいましたが、そんな感じがしています。
後に、笑福亭鶴光さんが東京に舞台を移した時には、東京の師匠方に随分可愛がられたと聞き及んでいます。
松鶴師匠大酒飲みで、酒にまつわる演目は爆笑でした。またある日、毎日放送テレビだったか、朝のバラエティー番組だったか、酒酔いでベロベロ状態、呂律が回ってない。よ~そんなベロベロのおっさんテレビに出すなぁ…と観ていたのが、師匠との出会いでした。
雛澪 (金曜日, 05 9月 2025 13:01)
師匠のよき行いが弟子に幸運をもたらし、弟子のよき行いが師匠に福音をもたらす。
誰の弟子であるか、誰の師匠であるかは卵とニワトリの関係で芸人の評価にも
つながりますね。
江戸の粋が(自分アピール)……はちょっと違うように思います。
江戸っ子に関する私のイメージは、腹に一物おかない・裏表がない・権威におもねないなどです。
京都は公家社会だったために、本音を隠す(裏表がある)文化になったとの
話を聞いたことはありますが……。
同じ上方とは言っても、京都人気質と大阪人気質もだいぶ違いますよね。
kirokuya (金曜日, 05 9月 2025 13:24)
東京、大阪で留めておきます。京都が入ると、ミヤビ(雅)に触れざるを得ないので、私の昨今、そこまで脳細胞働くとは思えません(*´σー`)エヘヘ