☆彡バルセロナの夜はサグラダ・ファミリア

 サグラダ・ファミリアのイエスの塔が完成した。かつては完成まで300年かかると言われていたが、現在の予定では全体完成が2035年頃とのこと。着工から完成までおよそ150年、当初の予定の半分の工期である。ガウディの生きた時代から大幅に技術が進んでいるということだろう。

 佐野元春さんの曲「バルセロナの夜」でその街の名を知った。ピースボートの航海で寄港したのが1990年の末。2年後のバルセロナオリンピックに向けて整備が進められる街は街路樹のある広い通りが美しく、地中海の明るい日差しが降り注いでいてとても洗練された印象だった。

 グエル公園やカサ・ミラなどガウディの設計した建物を見学して回り、サグラダ・ファミリアの建築に携わっていた彫刻家の外尾悦郎さんのお話も聞く、という贅沢な旅だった。主塔である「イエスの塔」の最上部はずっと建築中の写真しか見ていなかったので、今回白い十字架が設置された写真を初めて見て、感動するとともになんだか不思議な感じがした。遠い日本にいる私でさえそうだから、毎日少しずつできあがっていく塔を見てきた住民たちはさぞかし感無量だろう。

テレビで完成当日の記念式典の様子を見た。美しい装束を身に纏い整然と並んでミサに参加する人々、何万枚ものステンドグラス、教会の周りで歓声を上げる人々。自分の設計したサグラダ・ファミリアを微笑んで見つめるガウディの似顔絵がドローンで夜空に描かれる。天国のガウディもバルセロナの街を優しく見守ってくれているだろうが、まさか自分の顔が空に浮かぶとは思ってなかっただろうからビックリしているに違いない。

気が遠くなるような偉業を計画したガウディのすごさ、自分の死後も仕事は続いていくだろうという想像力、彼の遺志を継いで毎日こつこつと仕事を積み上げてきた歴代の技術者たち、それが許される環境。今流行りのコスパやタイパでは測りきれない芸術の素晴らしさ、人類の叡智というものがまさにここにある。そして宗教や政治や国境を越えた平和に対する願いもここにあるのだ。

  余談だが、私がアントニオ・ガウディの名を初めて知ったのはテレビCMだったなと思い、調べてみるとサントリーローヤルの1980年代のCMシリーズの中にあった。シュールでちょっと怖いようなCM。このちょっと怖いけど観たくなる深さはアニメ「妖怪人間ベム」の雰囲気と似ている。CM映像はやはり建築途中なので、他の塔よりも中央(イエスの塔部分)が低くへこんでいる見慣れたサグラダ・ファミリアだ。

ローヤルのCMシリーズ、他にもランボー(詩人の方ね)編やマーラー編などがある。この時代のCMって知的で芸術的なのがいっぱいあったんだなあ。