☆彡トルーマン・カポーティ「冷血」 佐々田 雅子訳

 映像がすべての場面において目に浮かんだ。晴天の下のんびりと繰り広げられる田舎町の農場の日常風景、夕日に輝く麦畑、顔なじみばかりが集う酒場、そして事件が起こり騒然となる街の人々、事件に関わる者たちと家族との人間模様……。まるでアメリカ映画を観ているかのよう。逃走する犯人たちの様子はロードムービーの様相を呈してもいる。登場人物が多く、様々な人の目線で物語は紡がれてゆく。場面転換も頻繁なのに全く混乱しないのが不思議だ。犯人にさえ感情移入するほど人物が色彩豊かに描かれているからだろうか。

ノンフィクション・ノヴェルなのであらすじや結末は初めからわかっている。ミステリーやサスペンスの緊張感とは違うのに、ページをめくる手が止まらない。本当の物語の面白さってこういうことなんだろう。こんな作品を書いたカポーティの晩年はあまり幸せなものではなかったらしい。しばらく彼の作品をたどってみようと思う。多作でないのが幸いかもしれない。

 読みながらふと思った。私はアメリカ映画が大好きなのにアメリカにはほとんど興味がない。なんでだろう。今までに行ったことのあるアメリカも、ハワイとグアムだけだ。ハワイは結構好き。フラを習っていたこともある。ウクレレは教室に行ってみたが、調弦ができなくて2回で挫折した。なんで今三味線をやってるんだろう。三味線の調弦は他の楽器と比べても超絶難しいのだ。

 フランスが大大大好きだし今までに3回行ってて、これからも行くつもりなのに、フランス映画にはほとんど興味がない。なんでだろう。

  旅ってどこに行っても楽しいし大なり小なり得るものが必ずあって「この旅はつまらなかった」と思ったことは一回もないけど、やっぱりヨーロッパの空気や文化、歴史からにじみ出る雰囲気や生活感なんかに私は一番惹かれるてるんだろうなあと思う。