☆彡【新説】彼氏ができるとオシャレじゃなくなる理論について

 このタイトルをあなたも「えっ? 誤入力じゃないの?」と二度見なさったことでしょう。誤入力ではございません。巷でよく言う「あの子最近オシャレになったね。彼氏でもできたんじゃないの」説に真っ向から反論をさせていただきます。

 これは私自身の実体験から導き出した、人類学的・社会心理学的に大変価値のある……かどうかわからないですがとにかく間違いのない新理論であります。

 まず、彼氏がいない時。この場合、女子はお出かけする際や会社に行く際、よほど特殊な性癖やよほど特殊な事情を持つ人を除いて、ある程度身なりを整え、できるだけ自分でも周囲からも可愛いとかキレイだとか思われるような外見であろうと努力します。努力の成果があらわれているかどうかは別として。

 これには次の2つの期待がかかわっていると考えます。1、外見が要因で周囲から軽く見られたり疎んじられたりすることなく、周囲から尊重されたいという社会的期待。2、外見を整えておくことで好ましい異性から見初められるかもしれないという動物的期待。

 さて、このような期待を持つ女子にいよいよ彼氏ができたとします。するとどうでしょう。2つめの動物的期待については(少なくとも彼氏にぞっこんの間は)全くなりをひそめ、これが理由で外見を整える必要はなくなります。1つめの社会的期待についてはゼロにはなりませんが、自分を丸ごと認めてくれる彼氏という存在ができたことで、かなり期待のパーセンテージは低くなります。

 翻って、彼氏と一緒にいる時はとにかく何もかも整えて見初められている状態を継続しなくてはならない、尊重されている状態も継続しなくてはならないということで、その比重がものすごく高くなります。

 言い換えれば、彼氏と会うわけでもない時に可愛い服を着る必要はない。会社や外出先で好ましい異性から見初められる必要もない。そこにお金やエネルギーを使うなら彼氏とデートする時に使いたい、また気にいった服を彼氏と会わない日に着ているとそれだけ早く傷んでしまうからそれももったいない! てなわけで、彼氏と会う時と会社に行く時のオシャレのレベルにどんどん差ができてしまうのです。

 この画期的な新説に私が思い至ったのは、三味線をしていて着物の着付けを習ったことがきっかけでした。

 着付け講座を修了して数年の間は、できるだけ着付けを忘れないようにという気持ちもあり、演奏で必要な時以外にも月1回はプライベートで着物を着てお出かけしていました。犬山にお着物ひとり旅した時は、着替えの洋服を持っていたら甘えてしまうからと、着物だけで1泊2日を通しました。なんて自分に厳しい私。ホテルでパンツ一丁でゴロゴロできた時の解放感は忘れられない!!

 そんなふうに着物に打ち込んでいた私ですが、彼氏(今の夫)ができたとたんに着物でのひとりお出かけや着物で友人と会うことがぱったりなくなりました。それどころか、出勤時の服装まで適当になりました。まさに『【新説】彼氏ができるとオシャレじゃなくなる理論』を身をもって証明したといえます。正確にいえば『彼氏と会うとき以外がオシャレじゃなくなる理論』でしょうか。

 なお、会社に行くだけだからと思ってしょうもない服で出かけた日に偶然彼氏と帰り道で会ってしまったような場合については自己責任でよろしくお願いします。