☆彡暗譜に関する私見 その2 みおつくしメソッド20200519

 

暗譜できる人とできない人の違いは何か? それは単純なことです。大人に限って言えば「暗譜できるかな」と思っている人は暗譜できません。「暗譜しなければならない」と思っている人は暗譜できます。たったこれだけです。人間の脳は自分の能力や適性を信用できないことに関しては早々にシャッターを下ろします。それは失望したり傷ついたりしないための自己防衛です。自分の能力を信用しようと決めたとたんに可能性はいくらでも広がり始めますし時間的な制限などを設けて自分で自分を追い詰めることでさらに大きな力を発揮します。学生時代、テスト前の一夜漬けがとても効果があったのと同じことです。

 

話はそれますが、そして推奨することでもないでしょうが、一夜漬けでそこそこの点数を取った経験は「どんなに厳しい状況でも自分を信じて最後まであきらめない」とか「効率を考えて仕事や家事を進める」平たくいえば「最小の時間と最小の労力で最高に能力を発揮する」といった考え方の基礎になるので、その後の人生・仕事においてもとても役立つのです。コツコツ努力型の人も素晴らしいけど、普段は部活や趣味や遊びばかりに夢中で、テスト前の数日間だけガーッと勉強してそこそこの点を取るような人もとてもカッコいいと思います。念のために言うとくけど楽器の一夜漬けはアカンよ。勘違いしないように。

 

さて本題の暗譜ですが、以前後輩に「暗譜するときは、譜面の数字を覚えますか?」ときかれたことがあります。私たちが使っている文化譜という譜面は三味線のツボを数字で表した譜面なのです。そしてその数字で譜面を覚えていくのかというと、違います。数字を覚えだしたら円周率を何万桁も覚えるくらいのボリュームになってしまいます。

 

どのように暗譜するのかときかれるとよくわかりません。ただ、これでは暗譜できないということはわかります。まず第一に、ひたすら何回も弾いて覚えるという方法。これが通用するのは、教科書の音読だけで自然に記憶できていた中学生くらいまでです。大人の私たちは、真剣に覚える気満々で弾かないことには例え100回弾いても1000回弾いても覚えられません。しかも完全に覚えきるまでの間に何度も振り返り(自己テスト)が必要です。単純に譜面を見ないで弾いてみて、どこまで弾けるか、またどこでいつも間違えるかの検証をしながら少しずつ完成に近づけていくのです。

 

それから、エア三味線もほとんど効果がないと思います。エア三味線とは、実際に三味線を鳴らすことをしないで頭の中で弾いてみるとか指使いだけやってみるとか譜面を書いてみるとかです。これは先日述べたように、三味線とはそもそも「譜面がこうだからこのように弾く」という考え方ではなく、「こう弾いたらきちんと聴こえた(そこで確認してみると譜面と合っていた)」という順序で考えるものだからです。

 

暗譜の仕方を無理やりに表現すると、まずその曲を演奏しながらある程度きちんと覚える(唄えるものは暗譜できる!)、それから指使いや手の動きとそれに連動して鳴る音で覚えるといったことでしょうか。そうしていく中で、どうしても暗譜しづらいワンフレーズとかいつもここがわからなくなる、というところが出てきたら、その部分だけに上記の「譜面の数字で覚える」「何回も弾いて覚える」「エア三味線で覚える」などを適用するのはいいと思います。

 

なお、一度覚えた曲もしばらく弾いていないうちにすっかり忘れてしまっていることがあります。それで構わないんです。過去に一度覚えた曲を覚えなおす時には通常の半分以下の労力でできるものだからです。私は十年後二十年後の自分のためにも、暗譜曲をこれからも増やしていこうと思っています。