☆彡映画「クーリエ 最高機密の運び屋」「オールド」ついでに臨場感って何だ。

久しぶりに映画らしい映画を観て感動しました。映画らしい映画、とは私の場合「シナリオ(原作)ありきではない」ということが最低条件といえるでしょう。もちろん、脚本や原作が面白ければ映画も面白いことが多いのですが、それだけだったら映画館に行かずとも本を読めばよいのです。映画を製作した意味があるということは、映像美や役者の存在感や演出の妙などというところによく表れるのだろうとは思いますが、いい映画というものは、そういう風に具体的にどうよかったかを言い表すのも難しいものです。なのでいい映画を観た感想は概して短くなります。しょうもない映画を観た感想はいくらでも長くなるのに。

『クーリエ 最高機密の運び屋』は歴史的事実に基づく物語です。それ故、物語の筋自体はさほど驚くような展開があるわけでもなく、おおよそ予測可能なストーリーです。にもかかわらず、私の2001年のベスト1になる可能性が非常に高い映画です。

 

『オールド』はシャマラン監督がまたやってくれたな~というストーリーです。まあまあよかったけど、こんな映画を今作って大丈夫なのかなあと心配になったり、社会に対する監督の思いが強すぎて、それは芸術としての映画においてはちょっと違うのかなあとは思いました。

 

10月に入って映画館の上映カレンダーも作品数が増えて華やかになり、喜ばしいかぎりです。両隣に知らない人が座っている映画を久しぶりに体験しました。あと、TOHOシネマズ梅田のスクリーン7で観て、いまだに前の人の頭が邪魔になる映画館があるんや~! シネコンなのに! とびっくりしました。

みんな映画館にお帰りなさい、とシャマラン監督も言ってました。PCやスマホやテレビ画面で観るものは映像であって映画ではないのです。随分前になりますが、当時の同僚が「趣味は映画を観ることです」と言ったのでいい会話ができると喜んでいたら、休みの日にDVDを大量に観ているのだとわかってがっかりしました。ついでに言うと、映画は巨大な平面芸術だと私は思っているので、3D映画なども観ません。遊園地じゃないんだからそこまでの臨場感はいらないんじゃないのと思ってしまいます。

 

臨場感の話ですが、テレビの4K映像に至っては、リアルを追求しているもののそれは本物のリアルではないような気がします。なぜなら、人間はものを見る時、自分の肉体的・精神的限界によって適当に省略しながら見ていたり、勝手に一部を創作しながら見ていたり、図らずも見えていない部分があったり、ぼんやりと焦点が定まらない見方にも満足していたりするものだからです。4Kの出現によって、テレビを「WATCH」する時に「SEE」でよかったものまで「LOOK」にされてしまったということです。身の回りのすべてが4KK映像のようにはっきり(?)していたら、きっと人間は気が狂ってしまうのだと思います。