☆彡三味線は楽しいか、について再考

  一生懸命勉強してよい点を取ったらうれしいですよね。
 勉強を一生懸命している時は苦しいけど、その苦しさに耐えて頑張ったから大きな喜びを得られるということです。
 一生懸命しない人は楽(らく)ですが、よい点の嬉しさも知らないままです。
 努力を嫌う人は「そんな苦しさと引き換えだったらよい点なんか取れなくてもいい」と思うかもしれません。それはそれで幸せでしょう。でも、努力の後の喜びを知っている人はそれはもったいない考え方だと気づくはず。
 前回、とても演奏のレベルが高い人が初めて「楽しい」といえるのだという意味のことを書きました。レベルが高い人は、過去の努力によって下地がしっかりしているから、今は苦しい努力の部分が少しだけでも、思い描くパフォーマンスに近いものができるから楽しいのだと思います。
 小学生の頃「苦あれば楽(らく)あり」ということわざを習いました。先に苦労(努力)しておけば、後が楽(らく)だ、という意味と学びましたが、50年近くたった今、本当の意味がわかりました。
 苦(努力)の先に楽しいことがある、という意味なのでしょう。

 

 念のため補足しますが、私は完璧主義ではなく周りの人と比べてもむしろアバウトでテキトーを重んじる性格です。すべてのことを一生懸命やる必要はないと思っています。ただ、何一つ一生懸命やらないことはダメだとも思っています。苦労を厭わず取り組めるものがあるというのは、本当に幸せなこと。私にとってそれが三味線であり、旅である、ということなんです。
「芸術は長く人生は短し」という言葉があります。古代ギリシアの医師、ヒポクラテスが言ったことを下敷きにしています。現代では「すぐれた芸術は人の死後も残る」という意味で使われることも多いですが、ヒポクラテスが言ったのは「医学の道は長く険しい、反面人生は短いからたゆまず励むべきだ」という意味だったそうです。
 今は亡き文楽の師匠方は、芸の習得に「一生では足らん。二生ほしい」「死んでからでも勉強せなあかん」と言いました。人間国宝級の技芸員さんをしてこのように言わしめる芸の世界とは、なんと奥深いものなのでしょうか。

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コメント: 2
  • #1

    Kirokuya (火曜日, 19 4月 2022 04:56)

    雛澪さんおはようございます。いつも楽しく拝読しております。
    苦労を厭わず‥云々、うらやましいです。また三味音聴かせてきださい。

  • #2

    雛澪 (水曜日, 20 4月 2022 00:42)

    ありがとうございます。
    少しでもいい三味線を聴いていただけるよう、日々精進します!!