☆彡耳コピの弊害について

 ここ数回にわたって耳コピや暗譜について述べてきました。

 初めは「絶対にコビーは無理!」と思っていた曲が、霧が晴れるように自分のものになったときの気持ちよさといったら、人生において幸せを感じる項目のベスト10以内に入るのではないでしょうか。難しい数式や化学実験に挑む学者とかも、きっとこの幸福感を知っているから止められないのだろうなと思います。

 かけた時間に理解が比例するわけではなく、それまで真っ暗な森の中をさまよっていたのが、ある日突然海の見える高台に出たかのように、サーッと霧が晴れていくのです。念のために言っておくと、三味線には3本の糸があること、調弦次第で様々な音程・調子が表せること、ひとつの決まった音を出すのに複数の方法があることが、耳コピや暗譜を困難にしており、鍵盤楽器だともっと楽にコピーできると思います。
 さて、こんな耳コピにもひとつ弊害があります。譜面を作らないので、どんな曲だったか忘れるということです。特に出囃子のような短い曲がそうなんです。初めの1~2小節を誰かに口ずさんでさえもらえれば瞬時に問題は解決します。耳コピで覚えた曲は、日数が経っていても5分もあればまた弾けるようになるからです。
 でも、ひとりの時は大変。タイトルをYouTubeなどで検索しても簡単にはヒットしない曲があります。音源をやっと探し当て、そうそうこんな曲だったなと思い出す。毎回YouTubeで探すのも大変なので曲を簡単に思い出せる方法を考えました。自分で勝手にタイトルにちなんだ歌詞を作って、唄にして覚えておくという方法です。

 例えば「大阪名物」という出囃子なら、曲に合わせて「おーさかめいぶつ岩おこしー」てな 具合です。こりゃいい方法を思い付いたと悦に入っていたのですが、ハタと気がつきました。そういえば、2年くらい前にもこの曲に全く同じ歌詞をつけたなあ。ありゃ~。記憶を呼び起こす手助けに全然なってない! しかも2年たっても思い付くのが同じネタとな。